style of life
自ら成長させられる家
ウッドの暖かさが印象的な建屋の内外で、
オーナーの手が加えられていくお住まい。
ご夫婦にぴったりな場所で余裕の住環境を求める
以前は、スキー選手として活躍をしていたAさん。冬には国内外でのレース転戦、夏にはニュージランドへバックカントリー(向こうは雪山)での撮影や契約するメーカーのスキー板開発のために試乗をしに、年に何度も出国と帰国を繰り返す生活を送られていた。その上、ご主人も外資系企業にお勤めで、海外出張が多いというお仕事。結婚して最初に選んだのは、都心まで電車で数十分の距離にありながら空港まで足を運びやすい位置にある、現在のお住まいの近くマンションだった。
「私が表舞台からほぼ引退し、娘が産まれたこともあって、日中もくつろげる家の購入を夫婦で考えるようになりました。他の場所も考えましたが、キャンプや釣りなど四季折々にいろんなアクティビティを楽しみに出かけやすい場所であることがすっかり気に入ったことと、都心ではとても望めない100坪というかなり広目の敷地を予算内で確保できることもあり、家を建てるための土地を近場で購入したのです」(Aさん)
アクティブなご家族らしさが伝わる
土地の確保と住まいの設計は同時並行となったが、夫妻がこだわったのは“ありきたりではない家”だったそう。
「屋上にジャグジーやリビングがあるような、非日常的な空間を求めていました。ところが、いろんな設計士さんにお願いしたのですが、提案いただいたのはハコ型の想定内のイメージばかり。そうした中で、このプランだけは発想からして違っていたのです」(Aさん)
台形という少々変形ながら広大な敷地を活かした現在のプランは、天井の高い大きな平屋風の建屋の中に、中二階と呼ぶには立派すぎる広い部屋をベッドルームとして収容し、どこにも似たコンセプトのない設計であることが一目で伝わってくる。また、大型キャンピングカーがカーポートに駐車されていてもまったく違和感を抱かせない、建物のおおらかな雰囲気が、Aさんご家族に似つかわしい。
入居を機にDIYライフが本格化
内装に目を向けると、白を基調とした壁に、床や梁、柱がライトブラウンのウッドという暖かな基調。床がオーク材、天井がレッドシダーなどと、適材を用いることで色目の変化が楽しめる。
存在感のある大型のアイランドキッチンの三方に広がる大きなリビングは、友人たちを招くパーティーにうってつけのスペースになったそうだ。
そんな賑わう空間を彩る雑貨や調度品には、Aさんのセンスが感じられる。「こだわりが細かすぎて、みんなに分かってもらえないこともあるんです」と笑いながら話すAさんだが、そのどれもが機能的でありながもオブジェとしても溶け込んでいる。
「キッチンのバックスペースにある、横に長大なウッド製のチェストのような収納棚は、職人さんに造作してもらったものではなく、設計士の図面をもとに北海道で作ってもらった板を自ら加工、組立、設置したものです。最後にオーブンを収めるのには苦労しました(笑)」(Aさん)
入居と同時に、家族が心地よく暮らすお気に入りの空間づくりが始まったそうだ。洗面台にはリーゾナブルな価格のミラーボックス繋げ3連仕様に加工。シンク下の棚は水道管を通す穴を加工したテレビボード。既製品に手を加え、自分好みに造り付けていった。
今も続く、本格的な外構工事
家具だけではなく、個性的な建屋の周囲…植栽、芝、ウッドデッキ、可愛らしい物置小屋といった外構のほとんども、Aさんの手によるものだ。自ら材料を調達し、鋸を引き、釘を打ち、養生を施したのだそう。その仕上げ品質は職人と見間違える水準。素人の手によるものとは思えない。
「スキー選手時代に所属していた企業が造園会社でした。内勤だったのですが、プロの職人さんの仕事ぶりを観察する機会があったのです。それで、見よう見まねでやってみようと思い立ちました」(Aさん)
プロと違うのは、自分の思いのままに、アイデアを出し、少しずつ手を入れていくこと。そしてモノ作りの難しさと向きあうプロセスを楽しんでおられること。
この先は、クロスバイクを置くスペースに着手する予定で、アプローチに必要な石置用の基礎製品はネットで米国から取り寄せたもの。次に訪問する時は、どこが新しくなっているだろうか。そんな楽しみを抱かせるお住まいだ。