style of life
光と風を迎え入れてくつろぐ暮らし
立地の持つ個性を引き立てる設計で、
屋内が外まで広がった空間を演出。
開放感に満ちたロケーションに一目惚れ
毎日の通勤にクルマを利用できることもあり、以前から郊外で広めの戸建て注文住宅の購入を検討されていたIさんご夫妻。休日を利用して数多くの売地を巡るうちに、出会い頭のように目の前に現れたのが、現在のお住まいの場所とのこと。お二人の勤務先のほぼ中間に位置し、筑波山を望める周囲の開けたロケーションと、市街地からの距離も遠すぎないのがお気に入りポイント。だが、それ以上にご夫妻の心を捉えたのは、一般にはなかなか出回らない個性的な立地条件だったそう。
「ここは台形の変形地なのですが、東側と南側が道路に面していて、北側が調整池でその向こうには筑波山が見えます。隣家に接しているのは西側だけで、三方に開けた土地だったのです。予算的には少しオーバーしていましたが、またと出ない好立地であると感じて、すぐに購入したいと売主に伝えました。この決断は間違っていなかったようで、私たちの後に何組もの購入希望者の順番ができたそうです」(ご主人)
変形地の長所を引き出す自由な発想
土地を確保されたご夫妻が、次に求められたのはこの立地の持つ個性を存分に引き出す家屋の設計。
「85坪と十分な広さを持つ区画ですが、長方形ではないので、ハウスメーカーが用意する企画商品型のプランではどうしても敷地内に無駄なスペースができてしまうのです。土地の形状を活かす、自由な発想の家づくりが必要だと思いました。それ以前に、私たちはありきたりではない個性的なプランを求めていました」(ご主人)
「私たちがこだわったのは、ミニマルな感覚にマッチした、シンプルな美しさを持った住まいです。生活感を醸し出すアイテムがほとんどなく、非日常的な空間で暮らせることを希望しました」(奥さま)
幾つかの中から、ご夫妻が最終的に「これだ!」と膝を打ったのが、”くの字”型に折れ曲がった現在お住まいの提案プラン。家屋の北西面を敷地に沿わせ、南東に向けて扇状に庭を囲むことで、光と風を包み込むように迎え入れる家屋が出来上がった。
理想の実現を設計がサポート
内装に関しても、オーナー夫妻の意を汲んで手の込んだ設えが施されている。中でも、一見してそれとは分からないよう室内各所に造り付けられているふんだんな収納スペースは特徴的。
「部屋の見える場所にモノを出さない、収納家具を置かない、という理想が実現できました。例えばリビングと一体化させたオープンキッチンを美しく維持するために、十分なスペースのパントリーや収納棚を用意したので、必要最低限の家電を置くだけで済みました」(奥さま)
「1間半まで全開し天井高ギリギリまで開口部を取ったサッシの採用や、壁で区切られない”くの字”の躯体は、構造設計が複雑で大変だったようです。それでも長期優良住宅の認定と耐震基準を十分にクリアしていただきました」(ご主人)
Iさん宅を訪れた建築設計士や内装業の友人たちは一様に、手間がかかった造りに感心し、良い材を使っていると驚くそうだ。
光と風、未来の家族を包み込む
こうして完成したIさん宅。リビングの吹き抜けや、開口部の大きなサッシ、広大なウッドデッキがウチとソトの境界を取り除き、建坪以上に奥行きを感じさせる。また家屋に抱かれた庭は緑で覆われ、スリット状の板塀が良い頃合いで外部からの視線を遮ってくれる。これらが合わさり、太陽光と通り抜ける風を気持ち良く感じながら、くつろぐ空間になった。庭と家屋を絶妙に一体化させるという基本設計思想を持つ住工房スタイルだからこそ実現した“暮らしの時間”である。
「庭の木の元に赤と黄色の花を植えたばかりで、これから育つのが楽しみです。来年は紫陽花を育てたいですね。そしていつか、子供が植物を見て、世話をして、何かを感じてくれる環境になれば、とても嬉しいですね」(奥さま)
いずれは…とお考えになっているお二人の子供たちにとって、思う存分に遊びながら、感受性豊かに育まれていく場所となりそうだ。